はじめに

活動5年目を迎えて

佐倉市域の歴史紹介をはじめてから、5年が過ぎました。
市内の公民館でのたくさんの独自講演をはじめ、書籍出版、臼井にある圓應寺再中興月岺和尚百五十回忌法要の際の調査資料作成、佐倉市役所・根郷公民館・佐倉歴史同好会様などから委託いただいた講演活動、佐倉秋祭り実行委員会様からいただいた秋祭りガイドボランティアなど、たくさんの愉しくも充実した活動を続けることができました。
活動を支えてくださった皆様に、ここに改めて深くお礼を申し上げます。

佐倉市域の長い歴史からみれば、5年という年月は瞬きみたいに短い期間です。でもその間にも、ながくそこにあった道祖神がなくなったり、某史跡があとかたなく宅地造成されたりしながら、時間は進み続けています。

今年で二回目になる佐倉市からの委託講演が終わって数日がたったある日、講演にご来場くださった方からお電話を頂戴しました。
講演がとても愉しかったと、ありがたくもご丁寧な謝辞をいただいたあと、その方の叔父様が子供の頃に遭遇した不思議な体験をお話しくださいました。
佐倉城のお堀と白蛇にまつわる興味深いお話で、その方からお許しいただきましたので、近くまとめる書籍のコラムで皆さまにも紹介したいと考えております。

そんなふうに日々の生活の中でひっそりと人から人へ伝わってきた幾千の物語もまた、伝わりかたと同じようにひそかに失われてきたのだと、お電話のあと改めて気づかされました。

この5年という節目に思うのは、すぎてゆく時間の中で変わりゆく、あるいは失われていく歴史や物語を、少しでも、何らかのかたちで伝えていきたい、ということ。
その「何らかのかたち」で残された何物かの意味や意義は、きっと伝わった先(つまり皆さま)ごとに、違ったものになるのだと思いますが、たぶんそれでよいのだろうと。
私の活動は、極力ありのままに、わかりやすく、できれば愉しくそれらを伝えていく媒介でありたい、と思っています。

 

そんな思いで、引き続き少しずつ活動してきます。

今後ともよろしくお願いいたします。

2018年9月吉日

けやき家こもん、こと髙橋富人

『佐倉市歴史探訪シリーズ』をはじめるに際して

日々何気なく通り過ぎる道端に、道祖神がそっと立っていたりします。

何十年と住んでいる家の近所に、気にも留めない藪や里山があったりもします。

私が住む佐倉市には、そんな『何気ない』風景がたくさんあって、ふだんは何を主張するでもなく私たちの生活の中で息をひそめています。

でも、ふとしたきっかけでひも解いた書籍の中で、これまでナニモノでもなかったそれらが、たとえばある武将の居城の跡であったり、昔おばあちゃんから聴いた伝説の地を示す道標であったりすることが書かれていたりしてビックリ、なんてことが、よくあるのです。

縄文式土器が出土する佐倉市は、先史時代から現代にいたるまで、探ればきりがない面白い歴史に満ち溢れています。

『佐倉市歴史探訪シリーズ』は、そんな佐倉市の歴史の中で、市民の方でも『なじみがうすい』、もしくは『なんとなく知っているけど、よくは知らない』(のではないか)と思われるものを取り上げて、みなさんに少しずつ紹介していきたいという思いからはじまりました。

基本的には、ひとつのお題につき、30分から1時間程度の『歴史噺(れきしばなし)』にまとめて、佐倉市内の公民館を中心に講演をしていく予定です。いまのところ、『千葉一族盛衰記』を『其の一』として、『佐倉惣五郎伝』 『平将門伝』、『臼井城攻防記』、『麻賀多神社の今昔(いまむかし)』の4つのお題を、一年間かけて皆さまにお届けする予定でおりますが、もしかしたら途中でお題がかわるかもしれません(ごめんなさい)。

それからこのシリーズは、『郷土の歴史や伝説にちょっと興味はあるけれど、難しい話しはどうも・・・』という方のために創られたプログラムとなっています。そんなわけで、図やイラストをたくさん用いて、できる限りわかりやすく愉しんでいたけるよう組みました。あくまでイメージとしては、『歴史講演』と『講談や落語』の中間的なプログラムと思っていただけるとわかりやすいかもしれません。

このシリーズが、皆さまにとって『佐倉市の歴史』に興味をもつきっかけになれば、これに過ぎるよろこびはありません。

末筆になりますが、この講演の機会と、貴重なアドバイスを与えてくださった、NPO法人まちづくり支援ネットワーク佐倉代表である福山様に、厚く感謝の意を表します。

 

2013年12月吉日

けやき家こもん